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杉田 周平
NIHON KEIEI (INDIA) Pvt. Ltd. / Director2026/3/4
【インド】月次記帳代行サービスとは?
近年、製造業・IT・商社などを中心に、インドへ現地法人を設立する日系企業が増加しています。しかし、設立後に多くの企業が直面するのが、「日々の経理・会計業務をどのように回していくか」という実務面の課題です。
現地で経理人材を採用する、駐在員が兼務する、あるいは日本からリモートで支援するなど、さまざまな選択肢がありますが、中でも多くの企業が採用しているのが「月次記帳代行サービス」です。
本記事では、インドにおける記帳代行サービスの概要から委託することに関するメリットや注意点、具体的な業務プロセスについて解説します。日系企業が活用する際のポイントもあわせてご紹介しますので、ぜひ体制構築の参考にしてください。
1.月次記帳代行サービスとは
月次記帳代行サービスとは、企業に代わって日々の取引データを会計システムへ入力し、月次ベースで帳簿および試算表を作成する業務を、外部委託(アウトソーシング)するサービスです。
インドでは、一般的に以下のような業務が含まれ、現地の複雑な会計基準および税務実務を前提に処理が行われます。
仕訳入力:インボイス(請求書)、銀行明細等に基づく仕訳入力
残高照合:銀行残高・売掛金・買掛金の整合性チェック
レポート作成:月次試算表(P/L、B/S)の作成
税務データ整理:GST(物品・サービス税)の仕入税額控除の確認や、関連データの整理など(※税務申告サービスと併せて契約する場合)
インドにおける月次税務作業は、日本と比較して負担と責任が重い点が特徴です。例えば、インボイス一つをとっても、内容に応じた源泉徴収税(TDS)の計算や、発行場所・宛先に応じたGSTの税率判断など、現地法を十分理解した上での処理が求められます。
2.日系企業が記帳代行を使う背景
では、なぜ多くの日系企業が月次記帳代行を利用しているのでしょうか。実務上、特に多く聞かれる背景として、以下が挙げられます。
設立初期で取引額は少ないものの、インド法令へのコンプライアンス対応は必須である
日本本社と会計基準が異なり、社内に十分な知見がない
駐在員が必ずしも会計実務に精通しているわけではない
現地の優秀な経理人材の採用・定着に時間がかかる
特に設立から数年は、「フルタイムの経理担当者を雇うほどではないが、管理を疎かにはできない」というフェーズにある企業が多く、コストとコンプライアンスの両面から、外部委託が現実的な選択肢となっています。
3.月次記帳代行を利用するメリット
1)現地制度に沿った正確な処理ができる
インドでは会計・税務・会社法が密接に関連しており、日本の感覚だけで処理するのは困難です。専門家による記帳代行を利用することで、インドの実務に即した適正な帳簿が整備されます。
2)駐在員・本社の負担が軽減できる
日々の仕訳や管理を外部に任せることで、駐在員は本来のミッションである営業活動や事業開発に専念できます。また、日本本社側も「現地から数字が上がってこない」「内容がブラックボックス化している」といったストレスを軽減できます。駐在員人件費や採用コストと比較すると、コスト面で合理的なケースが多い点も、外部委託の大きな利点です。
3)月次で数字を把握できる
月次で信頼できる試算表が作成されること自体が大きなメリットです。赤字状況、資金繰り、関連当事者取引の有無などを早期に把握し、経営判断に役立てることができます。

4.考慮すべき注意点
1)丸投げはできない
記帳代行であっても、請求書や支払情報の共有、取引内容の説明などは企業側の協力が不可欠です。社内の資料共有フローが整理されていないと、確認作業などでかえって手間が増える可能性もあります。
2)日本語対応のレベルに注意
インド側の帳簿やレポートは英語が基本です。日本本社や駐在員が、どのレベルまで日本語での報告・確認を求めるかによって、選定すべきサービスプロバイダーは変わります。
3)契約範囲に注意
インドでは、記帳業務と税務・監査業務は制度上は別の業務とされています。実務上は、月次記帳に加えて、GSTや源泉税(TDS)などの月次税務申告までを含めて依頼するケースが一般的です。一方で、年次の法人税申告、法定監査、移転価格関連業務などは、別途対応となることが一般的です。そのため、月次でどこまで含まれるのか、年次業務はどのように対応するのかを、契約時に整理しておくことが重要です。これにより、後からの認識違いや想定外の追加対応を防ぐことができます。
5.月次記帳代行の一般的なプロセス
企業規模や取引量により多少前後しますが、基本的には以下のサイクルで進行します。
1)資料の共有: 請求書、領収書、銀行明細、給与データ等を月次で共有
2)仕訳入力・確認: 内容確認のうえ、会計システムへ入力
3)残高照合: 銀行・売掛金・買掛金の残高チェック
4)月次試算表の作成: P/L(損益計算書)、B/S(貸借対照表)等の作成
5)質問対応・簡易説明: 不明点や変動要因についての報告

6.クラウド活用による可視化という考え方
近年は、単に記帳を外注するだけでなく、「誰が・どこから・どの粒度で数字を見られるか」を重視する企業が増えています。クラウドツールを活用するのも、有効な手段の一つです。例えば、弊社ではGlasiaous(ビジネスエンジニアリング株式会社)というクラウド会計・管理サービスを活用し、駐在員の方や日本本社の経理・管理部門の方が、財務諸表から個別の仕訳伝票までを日本語で確認できる環境を整えています。
これは、インド実務で作成されたデータを、日本側が理解しやすい形で可視化することを目的としたものです。以下のような効果が期待できます。
本社への説明・報告がスムーズになる
数字の変動要因や背景を追いやすい
インド拠点がブラックボックス化しにくい

7.まとめ
インドの月次記帳代行サービスは、以下の企業にとって特に有効な選択肢です。
設立初期の企業
小規模〜中規模の現地法人
駐在員・本社の管理負担を抑えたい企業
サービス選定時に重要なのは、「自社の管理体制や本社との関係性に合った形で数字が見られるか」という視点です。記帳代行に加え、クラウドツールの活用なども含め、自社にとって無理のない経理体制を検討することが、インド事業を安定的に進める第一歩と言えるでしょう。
【免責】本資料は公開情報を基に作成した一般的な情報提供であり、内容の正確性や完全性を保証するものではありません。実際の取引や判断にあたっては、必ず専門家にご相談ください。弊社は本資料に基づく判断・行動により生じたいかなる損害についても責任を負いかねます。
About Author
2016年に日本経営ウィル税理士法人(現:税理士法人 日本経営)に入社。2年目から海外事業に抜擢され、2018年にはフィリピン拠点を立ち上げて現在も取締役として運営に携わる。2024年7月からはインドに赴任し、日系企業の進出支援やM&A対応、会計アウトソーシング、税務調査など、インド市場に特化した幅広いサポートを行っている。2025年4月よりDirectorへ就任。
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